災害時、「ペットの命を守れるか」は事前の備えにかかっています。
人の避難準備は進めていても、「ペットの水やフード、トイレはどうしよう…」
と不安になる方は多いのではないでしょうか。
本記事では、在宅避難に備えてペットに必要な「水・フード・衛生管理」について解説します。
犬・猫・小動物それぞれの特性に応じて、備えておきたい量や注意すべきポイントを
つかんでおくと安心です。
日常生活の延長でできる小さな備えがペットの安心につながれば嬉しいです。
あなたの大切な家族(ペット)を守るために、今すぐできることから始めましょう。
なぜペットの防災対策が必要なのか

非常時は、ペット用品が手に入りにくいかもしれないにゃ〜。
ペットは、避難所に連れて行けないこともあるにゃ。
災害への備えというと、どうしても人間の食料や水に目が向きがちですが、ペットも大切な家族の一員です。
災害時には、ペット用品は手に入らなくなることもあり、人間以上にペットの方が過酷な状況に置かれることも少なくありません。
環境の変化に敏感なうえ、避難所に連れて行けない場合もあるなど、人とは異なる備えが必要になります。
ここでは、「なぜペットの防災対策が欠かせないのか」を3つの視点から見ていきましょう。
ペットは環境変化に弱い

大きな揺れや雷、騒音が重なると
パニックになることがあるよ!
日頃から訓練させておいてね!
ペットは、音・におい・気圧・雰囲気など、わずかな変化にも敏感に反応します。
大きな揺れや雷、騒音などが重なると、パニックを起こす可能性もあります。
そのため、在宅避難ができなくなった場合の対策を考えておかないと、いざというときに困ることになりかねません。
普段は元気な子でも、知らない場所や見慣れない人が多い環境では、ストレスから体調を崩すこともあるため注意が必要です。
あらかじめ備えておくことに加え、災害に似た状況に少しずつ慣らしておくことが、心身の安定につながります。
具体的にどんな状況に慣らしておくべきかは、次の章でご紹介します。
大きな音や揺れに慣らす
- 家で防災訓練時に非常ベルやアラーム音を再生してみる(音量は控えめに)
- 台風の日の風や雷の音を経験させておく(飼い主がそばにいて安心させる)
キャリーケースや避難バッグに慣らす
- 普段からキャリーに入れて外に出る練習をする
- 防災リュックに入れて短時間の散歩をしてみる
食器・トイレ環境の変化に対応させる
- 普段とは違うトイレシートや水入れを使う練習をしておく
- 災害時用の簡易食や保存フードをときどき与えてみる
飼い主がそばにいない状況も経験させる
- 家族以外の人が世話をする場面を作っておく(災害時の代理世話に備える)
- 留守番の時間を少し長くする練習をしておく(特に犬は飼い主依存が強い)
避難所に連れていけないケースも多い

避難所はペットの同伴を禁止していることが多いよ。
「一緒に避難できる」と思っていても、現実はそう甘くありません。
避難所によっては、ペットの同伴を禁止している場合も多くあります。
ペット用のスペースが用意されていても、飼い主と離れて過ごすことで極度の不安に陥ることもあります。
さらに、鳴き声やにおい、動物アレルギーへの配慮が求められるため、他の避難者とトラブルになる可能性も否定できません。
そのため、在宅避難を選ばざるを得ない家庭も少なくないのが現実です。
「ペットも家族」だからこそ在宅避難の備えが重要

ペットに必要なものをきちんと備蓄してあげてね。
災害時、ペットの命を守れるのは飼い主だけです。
「何とかなる」と思っていても、発災直後には食べ物や水が手に入らないことも珍しくありません。
水やフード、トイレ用品が足りないと、不安なのはペットだけではなく、飼い主自身も焦りや罪悪感で心が乱れます。
だからこそ、自宅での避難を前提に、必要なものを落ち着いて備蓄しておくことが何より大切です。
それが、ペットの安心=家族全体の安心につながる第一歩です。
ペットに必要な3つの備え【水・ペットフード・衛生】
災害時、ペットの命と健康を守るために欠かせないのが、水・ペットフード・衛生の3つの備えです。
人間と同じく、これらが不足すれば命にかかわるリスクもあります。
特に在宅避難では、自力で数日〜数週間分を確保する必要があるため、日頃から備えておくことが大切です。
ここでは、それぞれにどれくらいの量が必要なのか、どんな点に注意すべきかを具体的に解説します。
飲み水の備蓄|1日どれくらい必要?

哺乳類は、体重1kgあたり 1日50〜60mlの水が必要だにゃ!
夏はとくに、ちょっと多めに用意しておこうにゃ〜。
備蓄は、最低3日分、できれば7日分!ペット用の保存水もおすすめだにゃ!
災害時には、犬や猫などの哺乳類の場合、1日あたり体重1kgにつき約50〜60mlの水が必要とされています。
たとえば、体重5kgの小型犬で約300ml、大型犬なら1リットル以上になる場合もあります。
夏場は発汗や呼吸による水分消費が増えるため、通常より多めの備蓄が必要です。
また、水道水のように毎日交換できるわけではないため、ペット用の長期保存水や、人間用の水をペットと兼用できるように計画的に用意しておきましょう。
- 人と同様、最低でも3日分、できれば7日分以上の備蓄が望ましい
- 普段から飲み慣れた水と同じものを選ぶと安心
- ペットボトルや給水タンクは開封後の衛生管理にも注意
ペットフードの備蓄|種類や賞味期限のチェックポイント

普段から食べ慣れたフードにするのが大前提だにゃ〜。
ドライフードは、賞味期限が長い。
ウェットフードは、少量パウチの使い切りタイプが便利だにゃ!
ペットフードは、「食べ慣れたフードをそのまま備える」ことが大前提です。
災害時に突然違うフードを与えると、食べなかったり、下痢や嘔吐を引き起こす原因にもなります。
以下のような点に注意して、備蓄を整えておきましょう。
- 賞味期限が長いドライフードを中心に備える
- ウェットフードは開封後の保存が難しいため、少量パウチなど使い切りタイプが便利
- 食器も一緒にセットしておく
衛生対策|トイレ処理・ニオイ・感染症を防ぐには?

衛生対策をしっかりして感染症予防してね。
災害時に問題となるのが、ペットの排泄物の処理やニオイ、そして感染症の予防です。
とくに在宅避難では、自宅のトイレが使えない場合、人もペットも衛生環境の悪化に悩まされます。
衛生対策としては以下を備えておきましょう。
- 使い慣れたトイレシーツや猫砂などを多めに用意
- ビニール袋(消臭タイプ)やポリ袋で排泄物をしっかり密封
- ペット用ウェットティッシュや除菌スプレーも忘れずに用意
- 暑さで悪臭がこもりやすくなる夏場や、感染症が気になる時期にはこまめな処理と換気も重要
犬・猫・小動物で異なる備蓄の必要量と注意点
ペットと一口に言っても、種類によって災害時に必要な備えや注意点は大きく異なります。
犬・猫・小動物では、食事・水・トイレ・ストレス対策などの備え方が変わるため、それぞれの特徴に合わせた準備が必要です。
ここでは、犬・猫・小動物それぞれの備蓄量や避難時の工夫、特に注意したいポイントを解説します。
犬の場合|散歩・食事・トイレ・吠え対策

ワンちゃんは、吠え声がトラブルになることもあるよ。
普段から「静かにする」練習をしておくことが大切だにゃ。
犬は日常的に屋外での運動や排泄をしているため、在宅避難では運動不足やストレスがたまりやすくなります。
ストレスで、普段の食事を食べないときもあるので対策をしておくと安心です。
フードの備蓄(ローリングストック)
- 1日2食×7〜10日分を目安に備蓄。
- 普段から食べているフードを少し多めにストックし、賞味期限が近づいたら使って補充する「ローリングストック方式」がおすすめです。
- 災害時はストレスで食べなくなることもあるため、普段から2〜3種類のフードに慣れておくと安心です。
トイレ・におい対策
- ペットシーツやビニール袋を多めに準備。
- 消臭スプレーや新聞紙もあるとにおい対策に役立ちます。
吠え声の対策
- 災害時は、吠え声がご近所トラブルの原因になることもあります。
- 普段から「静かにする練習」をしておくと、いざという時に安心です。
猫の場合|トイレ・キャリーに慣らす・隠れるスペース・食事

猫ちゃんは、ストレスを感じやすいよ。
お気に入りの毛布やタオルを入れてあげてね。
猫は、周りの環境に敏感です。
移動するときに困らないよう、普段からキャリーケースに慣らすなどの対策をしておきましょう。
トイレ用品は「いつも使っているもの」を備える
猫はトイレ環境の変化にとても敏感です。
違う砂やトイレに戸惑って、排泄を我慢してしまうこともあります。
- 普段使っている猫砂、トイレトレーをそのまま備える
- においや感触が変わらないようにすることで、排泄トラブルを防ぎ、体調も安定しやすくなります
キャリーケースに慣れておこう
災害時には、移動や避難のためにキャリーケースが必須になります。
でも、普段から慣れていないと、猫が怖がって入らなかったり、パニックを起こす可能性もあります。
準備をしておくと、いざというときに大きな助けになります。
- 普段からキャリーに入る練習をしておく
- 中にお気に入りの毛布やタオルを敷いて、安心できる空間にしておく
隠れられるスペースの準備も忘れずに
猫は本来、狭くて暗い場所で安心する習性があります。
災害時の環境変化は強いストレスになるため、「隠れられる場所」を用意してあげましょう。
- ダンボールハウスやキャリーの中に、タオルやブランケットを入れておく
- 隠れられる場所を複数作っておくことで、不安の軽減につながります
フードと水は1週間分が目安
- 1日1〜2回の食事量を目安に、最低でも1週間分のフードと水を備えておきましょう
- 普段から食べ慣れているフードでローリングストックしておくと、ストレスも軽減されます
小動物(ウサギ・ハムスター等)の場合|温度・ケージ・水分補給

ウサギやハムスターは、ストレスと気温の変化に弱いよ。
保冷剤やカイロ・アルミマットなどを備蓄してね。
ウサギやハムスターなどの小動物は、体が小さく、ストレスや気温の変化にとても敏感です。
災害時は、特に慎重な対応と細やかな備えが求められます。
温度管理グッズをしっかり備える
小動物は暑さや寒さにとても弱いため、停電時でも室温を保てるような工夫が大切です。
気温変化に対応できるよう、季節ごとの備えを意識しましょう。
- 夏:保冷剤・アルミマット・扇風機(電池式やポータブル電源と併用)
- 冬:使い捨てカイロ・毛布・段ボールで囲う断熱対策
普段のケージを持ち出せる準備を
避難時は、慣れたケージごと運べるのが理想です。
難しい場合は一時的にキャリーケースなどに移すことになりますが、
- いつもの敷材やおやつを一緒に入れてあげる
- ケージの一部やハンモックを持参するなどの工夫で、ストレスをやわらげてあげる
給水ボトルはスペアを用意しておく
災害時は、給水ボトルが破損したり、使いにくくなったりするリスクがあります。
- スペアを1〜2本備えておくと安心
- 衛生面にも配慮し、こまめな水の交換も忘れずに
フードや牧草はいつものものを多めに備蓄
普段と違うフードでは、食べなくなってしまう小動物も多いです。
災害時に体調を崩さないよう、次のように備えましょう。
- いつも食べているペレットや牧草を余裕を持って備蓄する
- おやつや栄養補助食品も、ストレス軽減に役立つことがあります
事前準備|ペット用防災バッグ・ストレス軽減のしつけ・避難の練習
災害時、在宅避難を選ぶ場合でも、ペットの安全と健康を守るための事前準備は欠かせません。
とくに、避難所に行かず自宅で過ごすことを前提とするなら、備えの質と量がカギになります。
この章では、日頃からできる準備として「防災バッグの工夫」「ストレス軽減のしつけ」「避難の練習」など、具体的な取り組みをご紹介します。
防災バッグの準備|中身と置き場所の工夫

バッグの中身は、定期的に見直して交換してね。
在宅避難でも、ペット用の防災バッグは必ず準備しておくべきアイテムのひとつです。
万が一、避難所に行かなくてはならない状況になった場合にも、そのまま持ち出せるようにしておくと安心です。
- ペットフード(最低3日〜7日分)
- 飲料水(1日あたり体重1kgにつき50〜60ml目安)
- 折りたたみボウル
- トイレ用品(シーツ・処理袋など)
- お気に入りのおもちゃや毛布
- ワクチン証明書や健康手帳のコピー
また、バッグの置き場所は玄関やすぐに取り出せる棚などにしておくと、災害時に慌てずに行動できます。
中身は定期的に見直し、賞味期限や季節に合わせて調整することが大切です。
私自身は、毎年3月と9月に防災バッグの中身を見直すようにしています。
このサイクルを決めておくことで、忘れずに入れ替えができるようになりました。
人間用の防災バッグと同じように、ペット用の防災バッグも定期的にチェックしてあげてくださいね。
ペットのストレスを減らす日頃のしつけ

吠えグセ・トイレトレーニング・キャリーに慣れさせるなどの
しつけをして環境の変化に慣らすことが大事だにゃ。
災害時は、人間と同じくペットも大きなストレスを感じます。
急な物音、知らない環境、食事やトイレの変化など、慣れない状況はペットにとって大きな負担になります。
そのため、日頃から「吠えグセ」「トイレトレーニング」「キャリーに慣れさせる」などのしつけをしておくことが、避難生活をスムーズにします。
とくに避難所では、無駄吠えやトイレの失敗が大きなストレスやトラブルの原因になることもあります。
普段の生活の中で、少しずつ環境の変化に慣らす練習をしておくことが、いざというときに役立ちます。
普段からの「練習」でパニックにならない

パニックにならないようにするには、日頃の経験と慣れがカギだにゃ。
在宅避難を想定するなら、日常の中で「もしも」の状況を想定した練習をしておくことが重要です。
災害はいつ起きるかわかりません。
「平常時に慣れていれば安心」と思っていると、非常時にペットがパニックを起こすこともあります。
たとえば以下のような災害を模したシミュレーションが効果的です:
- 地震速報の音を流してみる
- 停電を想定して暗い部屋で過ごしてみる
- キャリーで数時間過ごす練習をする
- 防災バッグからエサを与えてみる
「本番」でパニックにならないようにするには、日頃の経験と慣れがカギになります。
できることから少しずつ始めてみてください。
わが家の実践例|工夫している備えと感じた課題
防災対策は「知っている」だけではなく、「実際にやってみる」ことが大切です。
ここでは、私がが日常的に行っているペットの防災対策の実例をご紹介します。
備える中で気づいた工夫や、反省点などもあわせてお伝えしますので、これから準備を始める方の参考になれば幸いです。
実際に備えている防災グッズ

僕の飲料水は、ペットボトルに毎日新鮮な水を入れ替えて備えているんだにゃ。
我が家では、在宅避難を想定して以下のペット用防災グッズを常備しています。
- フードのストック(約2ヶ月分)
- 飲料水(毎日ペットボトルに入れ替え)
- 折りたたみボウル(食器・水入れ)
- キャリーバッグ(避難移動用)
- ペットシーツ・ウェットティッシュ・消臭スプレー・消臭袋
- 予備の首輪・リード
- お気に入りのおもちゃや毛布(安心感のため)
とくに、ペット用の飲料水は人間の備蓄とは分けて管理し、毎日、ペットボトルに新しい水を入れ変えて備えています。
キャリーバッグの置き場所とペットシーツの管理方法

毎年3月と9月に中身を入れ替えているよ。
キャリーバッグは、いつでも取り出せるよう玄関近くに保管しています。
災害時の避難では、時間との勝負になるため、すぐに持ち出せる場所にあることが大切です。
ペット用品は、防水性の収納ボックスに入れて保管しています。
湿気やカビを防ぐために、3月と9月に中身を見直すようにしています。
見落としがちな備えと反省点

備蓄を始めた頃は、猫砂とトイレシーツの備蓄を忘れてたんだにゃ〜。
ペット専用の備蓄品リストがあるといいにゃ〜。
備蓄を始めた当初は、「フードと水さえあれば十分」と考えていました。
しかし、実際にシミュレーションをしてみると、衛生用品の不足に気づきました。
たとえば、猫砂やトイレシーツは、人間の備蓄品リストにはないので気がつきませんでした。
人間の防災とは別に備蓄品リストが必要だと実感しました。
また、定期的な見直しの大切さも痛感しています。
私は、『3月と9月を防災の見直し月間』として決め、防災の見直しをして管理しています。
まとめ|「大切な命」を守るために今できる備えを

ペットも家族の一員だにゃ。
大事な命を守るため、防災に取り組もうにゃ!
災害時、ペットは自分で身を守ることができません。
飼い主である私たちが「今、どれだけ備えているか」が、その命を左右します。
水やフード、トイレ用品といった基本的な備蓄はもちろんのこと、ペットが安心して過ごせる環境を作っておくことも大切です。
キャリーバッグや避難グッズの見直し、日頃のしつけや“避難の練習など、できることから少しずつ始めてみましょう。
「うちの子は大丈夫」と思っていても、
災害時のストレスや環境の変化は、ペットにとって大きな負担になります。
だからこそ、在宅避難でも、『ペットも人と同じくらいの備え』が基本です。
備えがあれば、いざというときに落ち着いて行動できます。
あなたと、あなたの大切な家族であるペットの命を守るために、今できる小さな一歩から、備えを始めてみてください。
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